光トポグラフィー検査(NIRS)当日の様子

いよいよ検査当日。予約した時間に受付を済ませると検査官の案内で検査室に通されました。

検査室には、光トポグラフィー検査装置・NIRSと、事務机とパソコンがありました。NIRSは、パソコンと、四角い機械部分と、クリスマスツリーの電飾のようなものを頭に被せるヘッドバンドと、それらをつなぐ黒いコードで構成されていました。電飾は近赤外線の赤で、これは人体には何の害もないものだと教えていただきました。

ヘッドバンドとコード部分だけ見れば、映画マトリックスの「センティネル」に似ています。実物はもっとシンプルな作りなので初めて見たとき「あ、センティネルの赤ちゃんだ。可愛…」と自分でも天然な感想を抱きました。センティネルを頭に載せるのであれば、ヘアスプレーなどで髪をセットしたり過度な髪飾りをするのが駄目な意味も分かります。髪をまったくいじらずに来て良かったです。

検査の概要を説明される

そして、検査官に問診表と診断スケールを渡して検査用の事務机に向かいます。椅子に座ったときはパソコンの画面は真っ暗なままで、先にファイルを開きながら検査の概要を教えられました。私が説明を受けたのは、

  1. 画面の真ん中に十字(+)が表れるので、それを見ること。
  2. 十字(+)から目を反らさずに「「あいうえお」と何度も繰り返すこと。ただし、大きな口をあけてはっきりと発音しようとすると、こめかみの筋肉の動きを装置が拾ってデータが狂うので、出来るだけ小さな口でぼそぼそと喋ること。
  3. 次に「か」「あ」「え」など、文字をコンピュータが言うので、その文字から始まる単語を思いつく限り並べること。ただし、眉間に皺を寄せるとその筋肉の動きを装置が拾ってデータが狂うので、注意すること。単語が浮かばなくてもかまわない。
  4. 最後のふたたび十字(+)を見ながら「あいうえお」を終了するまで続ける。十字(+)から目を反らしてはいけない。
  5. とにかくリラックスして、ゆったりとした姿勢を心がける。体の筋肉の些細な動きを装置は全部拾ってしまう。良いデータを得るために、手足はだらんとしたまま力を入れないように。

という感じでした。

検査の予行練習

ファイルと口頭で指示を受けた後で、パソコン画面に電源が入り練習のためのビデオが始まりました。今さっき受けたのと同じ説明がビデオでも繰り返されます。

途中、「あいうえお」を繰り返すとき、ビデオの中の女性はかなりはっきりと「あいうえお」を発音していたため、検査官の方から「ビデオみたいにはっきりとは話さないで」という注意がありました。思わず心の中で、『おいおいメーカー!!!』とつっこんでしまいました。

次に、本番前の練習がはじまりました。「あいうえお」を言い続けるのは自然に出来たと思うのですが、その最中にいきなり機械が「え」と言いました。私は、次の課題に移ったことが理解できなくて「う、え、お……」と続けていたら、「えんぴつ、えのぐ、など、えの付く言葉を……」と促されようやく課題が移ったことに気が付きました。しかし、自分で単語を考えるより先に、また、「あいうえお」に戻ってしまいました。

すると検査官から、「今の練習では一文字だけだったけれど、本番では三文字出てきますからね」と教えられました。課題が移る間には合図がないこと、文字の後に単語を無理に並べなくてもいいことを、ようやく飲み込みました。

いよいよ光トポグラフィー検査スタート

ここで、検査官が私にヘッドバンドをかぶせ始めます。ゴツゴツとした部分が頭全体を押してきます。かなり締め付けられてる感覚がありました。何度か、セットしなおしたり、ゴツゴツを私の頭に押し付けて感度が良くなるように調整したりします。

「13と、57番……」と検査官は呟きいていましたから、一つ一つの赤いボタンに番号がついていて、全てがぴったり頭にくっつくようにしているのでしょう。だいたい、セットし終わるのに10分くらいかかりました。そしていよいよ検査開始です。

本番では、とにかくリラックスしながら全身どこにも力を入れずに取り組むことが求められました。少し眠いくらいでいいのかもしれません。私もだらんとした表情で、ぼそぼそと、画面の十字(+)をみつめて「あ、い、う、え、お」を繰り返しました。何回言ったかは数えてないので分かりませんが、体感で1分くらいに感じました。

「あ、い、う、え、お」と言うのに慣れてきた頃に「ま」という声がかかりました。2つ単語を言えたあとで、3つ目が思い浮かびませんでしたが、気楽に浮かんでくるのを待ちました。「と」という声がしました。この単語はあまり苦労せず、5つくらいスラスラと言えました。「え」これも、迷わず終えることが出来ました。

そうして最後にまた、十字(+)を見つめたまま「あ、い、う、え、お」を言い続けます。そろそろ飽きてきたなぁと思う頃に「これで終わりです」の声が機械から流れてきて、検査は終わりました。

検査官はところどころの画像を取り出して様子を見ているようで、マウスをクリックするカチカチという音がします。しばらくして「キレイにデータが出てますよ」との声がかかり、装置を外されました。髪の毛はところどころ、ぺしゃんこになっていました。

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